2021.03.04

アクシス

 「アクシス(Axis)」は「風の時代」を幸せに生きるために欠かせない「軸」を意味します。人生の揺るぎない「軸」のヒントをシリーズでお送りします。

 2021年も3月を迎え、桜の便りも聞かれるようになりました。皆さまお元気で春を迎えておられるでしょうか。新型コロナウィルス感染症との闘いはまだまだ収束に至っていませんが、知恵と経験を結集することにより、この世界的な危機を乗り越えたいと思います。

 基本的なこととして、まずは自分自身が感染源にならないための対策を万全に行いましょう。健康の3原則である十分な栄養と睡眠、適度な運動を心がけましょう。また、マスクや手洗い、密を避けるといった感染予防策を家族で徹底しましょう。そして大事なのは、ストレスをため込まないことです。ストレス解消の有効な方法の一つは雑談をすることだそうです。オンラインでの雑談はいかがでしょうか。親しい方と時間だけを決めて自由に話します。とりとめのない雑談を通して絡んだ糸がほぐれるように自然に心の重荷が軽くなったという話をよく聞きます。ぜひお試しください。

 さて、「アクシス」の記念すべき第1回は、私の座右の銘である「今日は残りの人生の最初の日」についてです。今から20年以上前の話ですが、私が人材育成のコンサルティングの仕事を始めたばかりの頃、先輩のコンサルタントが熊本で一般向けのビジネスセミナーを行いました。そのセミナーに81歳の男性が参加したそうです。そのような高齢の方が参加するのは珍しいことでした。そのセミナーでは一つの課題がありました。テキストの1ページに横棒が1本引いてあって、左側に「誕生」、右側に「死」と書いてあります。講師はこう言います。「この棒は皆さんの一生を表します。皆さんは今、この棒のどのあたりにいるでしょうか。ここだと思うところに×を書いてください」。

 皆さまだったらどこに×を書くでしょうか。たいていの方は平均寿命から案分して、40歳の方なら大体真ん中に×を書きますね。では、先ほどの81歳の方ならどうでしょうか。はい、たいていは「死」のすぐ左隣あたりでしょう。でもこの方は誕生のすぐそばに書いたのです。それを見た先輩は「この方はお歳だから右と左を間違えたに違いない」と思い、「すみません。そちらは『誕生』で、『死』はこちらですよ」と右端を指して言いました。失礼な話です。でもこの方の答えはこうでした。「いいえ、これでいいのです。振り返ってみるとでたらめな人生でした。あと何年生きられるか分かりませんが、何とか取り返したいと思いました。そんな時にこのセミナーに出会ったのです。ですから私にとって、今日は残りの人生の最初の日なのですよ」。

 このエピソードを聞いたのがちょうど起業したばかりの時でした。自分に言ってくれていると思いました。以来、この方の言葉が私の座右の銘となっています。過去を貴重な「学びの経験」として、今日から始まる人生に全力を傾けようではありませんか。

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