アクシス2022年3月2日「最も大切なこと」
3月の声を聞き、空気が一段と明るくなったようです。いつも孫と歩くサイクリングロードの紅梅が、行きかう人々の心に暖かな香りを届けてくれています。お変わりありませんか。年ごとに忠実に繰り返される自然の営みは、変化の激しい世にあって、人々にそこはかとない安心感を与えてくれているような気がしてなりません。
この季節になると心に浮かんでくる忘れられない出来事があります。当時企業研修を行っていた私は、担当した製薬会社の人事担当者から電話をもらいました。彼は研修のお礼を述べた後で、お父さんからかかってきた電話のことを話し始めました。お父さんは彼にこう話したそうです。「今度一戸建てに引っ越すことにした。庭に小さな桜の木があってね。とても楽しみにしているんだよ」。
彼とお父さんとは互いに自立心が強く、引っ越しの知らせが来ても普段だったら「ああ、そう。がんばってね」ぐらいで終わってしまうのだそうです。でも、彼はこう答えます。「じゃあ、女房と子どもを連れて手伝いに行くよ」。
引っ越しを終えて庭を眺めながら、彼は父親にこう言ったそうです。「来年桜が咲いたらまた来るよ。みんなで花見をしようや」。
それから数週間後、彼は職場で父親が急死したとの知らせを受けます。事故ではなく病気でした。彼にとってそれは受け入れられない出来事でした。引っ越しをして新たな生活をスタートした矢先のあまりにも突然の死。そして、長年医療に関する企業に籍を置きながら父親の病状に気づけなかった自分へのいら立ち。放心状態で何も手につかない日々が過ぎていきました。
しかし、彼はこう言いました。「でも黄木先生、今は大丈夫です。なぜ克服できたか分かりますか?」「どうしてですか?」「先生がセミナーの中で、『1分間で、自分が何を大切にしているかを考えてみてください』と言いましたよね。あの時、いろいろ考えているうちに突然父の顔が浮かんできたのです。だから電話がかかって来た時に、すぐにみんなで手伝いに行くと答えました。おかげで、家族みんなで一緒に過ごせましたし、来年の約束までできました。なんとお礼を申し上げていいか分かりません。本当にありがとうございました」。
この出来事から20年の歳月が流れ、私を取り巻く環境も大きく変わりました。でも、コヴィーが教えてくれた「最も大切なことは、最も大切なことを、最も大切にすることである」との原則は、激動の今こそ大きな価値をもって輝いていると思えてなりません。
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黄木 信のモジュールゼロ・ビジネスウェビナー
ジャック・キャンフィールドの成功法則#23「『5つの法則』を活用する」
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3月11日(金)20-21時
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