アクシス2021年9月7日「パラリンピックを通じて決意したこと」
日々数々の感動を与えてくれた東京パラリンピック2020が閉幕しました。各国の選手たちが繰り広げる限界を超えるパフォーマンスに、心を揺さぶられる毎日ではなかったでしょうか。生まれつき、あるいは事故や病気でハンディキャップを抱えることになった人々が、それを克服して日常生活を送るだけで途方もない忍耐と努力が求められるにも関わらず、自己の可能性の限界に果敢に挑戦する姿は、見ていて心が熱くなりました。彼らのそうした姿を見て、自分も何かにチャレンジしようと思った方も多いのではないでしょうか。
さて、今回はパラリンピックを通して私が決意した2つのことをご紹介したいと思います。まずは「もっと体を鍛える」ことです。「いたわりの文化」が強い日本では「判官びいき」などの言葉もあるように、弱者には優しくしなければならないと教えます。しかし時として、弱者は弱者として振る舞うべきとの誤った空気が生まれることも事実です。例えば、年配者が若い人と同じことをしようとすると「年寄の冷や水」と言ってたしなめられますし、時にはそうした年配者のチャレンジが若い人から「痛々しい(見ていられない)」という言葉で揶揄されることもあります。今回のパラリンピックは私を含めた多くの日本人にとって、そうした考えを根底から覆してくれるものとなったのではないでしょうか。正直私も、「毎年挑戦しているフルマラソンをもっと続けたい。そのためにはもっと体を鍛えなければ」と決意しました。
2番目は、「日々の生活の中での小さな努力の積み重ねを大切にする」ことです。ご存じのように、パラアスリートの生活は競技がすべてではなく、日々の生活そのものがチャレンジです。今大会の車いすテニスで金メダルを獲得した国枝 慎吾選手。テニス界のレジェンドであるロジャー・フェデラー選手が、印象に残る日本人テニス選手についてこう語ったそうです。「日本にはクニエダがいるじゃないですか」。フェデラー選手にとっては、大坂 なおみ選手や錦織 圭選手よりも国枝選手の方が強く心に残っているのです。まさに世界のクニエダですね。
そんな国枝選手の普段の生活について、奥さまの愛さんはこう言います。「どうしても、障がいを乗り越えて素晴らしい、みたいな伝えられ方をする。ただ、テニスを離れたら、日常生活で困ることはめちゃくちゃたくさんある。毎日、小さなイイライラや不満に折り合いをつけて、生きていく。気持ちは分かるが、軽々しく、障がいを乗り越えるとは言えないかな。」(athleterecipe.com 2021/09/04参照)
理想を高く掲げながらも自分にしっかりと向き合い、周りの人々の助けも借りながら日々の努力を誠実に積み重ねていく。やはり、これこそが実りある人生をもたらしてくれる原則なのですね。